2020.04.28
アップサイクル(Upcycle)とは、もともとの形状や特徴などを活かしつつ、古くなったもの・不要だと思うものを捨てずに、新しいアイディア・価値を加えることで、元の状態よりも価値の高いモノに生まれ変わらせる、サスティナブル(持続可能)な考え方です。使い終わったものをもう一度資源に戻し、製品を作るリサイクルや、一度使ったものをゴミにせず再利用するリユースとも違い、別の製品として生まれ変わらせることで、その寿命を長く引き延ばすことができる可能性があります。
アップサイクルの取り組みは、ファッションと生活雑貨の領域で大きな成功を収める事例が増えてきています。そのひとつであるスイスのバッグブランドは、トラックの幌布、自動車のシートベルト、自転車のチューブなどを用いた、実用的でデザイン性が高いバッグで、世界的に知られています。
そんなアップサイクルの取り組みが、食品の世界で広がっています。例えば、食卓の身近な存在である「おから」は豆腐を作る際にできる豆乳を絞った残りかすですが、食物繊維やカルシウムを多く含んでおり、ヘルシーフードとして注目されています。家畜のエサとして処理されていたおからが、現在は卯の花和えや豆腐ハンバーグなどのレシピに活用されたり、米国では高タンパク質でグルテンフリーの高品質健康食「おからパウダー」にアップサイクルしている事例もあります。
おから以外にも、最近ではアップサイクルな素材として「こんにゃくセラミド」が注目されています。
こんにゃくの原料はこんにゃく芋ですが、地面の中にある球形に肥大した茎で、通常3年ほどかかって成長します。こんにゃく芋そのものは、そのままでは食べることはできず、長期の保存もできません。そのため、こんにゃく芋を乾燥させて精粉(せいこ)と呼ばれる粉にしてから加工します。こんにゃくセラミドは、こんにゃく芋を精粉にする際に捨てられる「飛び粉(とびこ)」に多く含まれています。かつてはただ無駄なものとして捨てられたり、肥料として使われていましたが、その「飛び粉」から、肌の潤いやバリア機能強化に大いに貢献するセラミドを抽出することができることがわかりました。
今年、全国のこんにゃく収量の9割を占める群馬県にて、群馬県産の「こんにゃくセラミド」を活用した新たな食の特産品を、群馬県内の企業等に開発いただく取り組みとして、「群馬県産こんにゃくセラミド新特産品アワード」が開催されました。群馬県内の企業等15団体から全26品の新特産品案が集まり、応募された新特産品案は、検討委員による協議をもって『群馬県産こんにゃくセラミド新特産品アワード推奨商品』として認定されました。その認定商品の中で、群馬県産食材のご使用、かつ、こんにゃくセラミドのアップサイクルの側面を引き出しているという観点から、「群馬アップサイクル賞」を受賞された新特産品案を紹介します。
りんごジュースを水で薄めることなく贅沢に使用し、こんにゃく粉でとろみをつけた飲むタイプのゼリーです。群馬県利根沼田地区のおいしいりんごを一年中おいしく食べることができる加工品を作りました。
ぽむぽむの樹は、群馬県沼田地区の女性農家の会の所属メンバー3名のりんご農家によって結成されました。ポムというのはフランス語でリンゴ、ポムポムということでリンゴが集まってみんなで一緒に商品を作っていこうということでぽむぽむの樹と名付けられています。
群馬県は観光りんご園を主とし、通常の収穫時期を超えて、樹上に実を残すことで甘みを向上させる樹上完熟果にこだわっています。
こんにゃくセラミドを活用した製品は続々と登場し、日々の生活に手軽に取り入れることができます。
担当者さまのコメント
高崎市の伝統野菜である、国分にんじんを使ったベジタブルジェラートです。着色料などの添加物を一切使用せず、牛乳も高崎市産にこだわっているため、自然な味わいを楽しめます。
国府野菜本舗は、群馬県高崎市にて、地場野菜の直売、自家製ジェラート、太巻き寿司やお弁当・惣菜・漬物などの製造・販売を手がけています。
国府野菜本舗がある国府地区では、大正時代からにんじんを仕入れ、日本の風土に合うように改良した長にんじんを育ててきました。長にんじんは色が非常に濃く、甘みが強いのが特徴です。